こんな悩みを解決できる記事です。
Tracers S&P500ゴールドプラスは、レバレッジという従来の分散投資とは一線を画す運用方法を採用しています。

S&P500と金のコンビということもあり、ファンドの人気は急上昇中!
しかしレバレッジ効果による高いリターンの裏には、見過ごせないリスクと難解な仕組みが存在します。
そこでこの記事ではTracers S&P500ゴールドプラスの強みと投資する前に知っておきたいリスクを分かりやすく解説!
記事前半ではTracers S&P500ゴールドプラスの詳細とリスクを、後半でTracers S&P500ゴールドプラスが向いている人の特徴を紹介します。
この記事を読んで、Tracers S&P500ゴールドプラスへの最適な投資判断をしましょう。




Tracers S&P500ゴールドプラスとは?
Tracers S&P500ゴールドプラスの大きな特徴は以下の2つです。
S&P500と金に投資
Tracers S&P500ゴールドプラスは、S&P500と金に投資する投資信託です。



運用会社は日興アセットマネジメント。
アメリカ経済の成長を享受しながら、同時に安全資産である金の恩恵も受けられる設計です。
S&P500
一つ目の投資対象であるS&P500は、アメリカを代表する約500社の優良企業で構成される株価指数。
以下はS&P500の10年チャートです。





様々な金融ショックを乗り越えて右肩上がり!
S&P500の投資対象はGAFAM(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン、マイクロソフト)をはじめとするテクノロジー企業から金融、ヘルスケアまで幅広い業種です。
S&P500の詳細は別記事で詳しく解説しています。
金(ゴールド)
一方の金(ゴールド)は、古くから「有事の金」と呼ばれ、経済危機や政治的混乱時に価値を保つ実物資産として重宝されてきました。
株式市場が下落する局面では、しばしば金価格が上昇し、両者の動きは逆相関を示すことが多いからです。



金とS&P500のチャートを見ると、確かに両者の逆相関が分かります。


つまりTracers S&P500ゴールドプラスは、動きの異なる2つの資産を組み合わせることにより
- 経済成長の追求
- 市場変動リスクの軽減
の両方を目指していると言えます。
レバレッジを効かせた投資信託
二つ目の特徴はレバレッジを効かせた投資信託であることです。
レバレッジはてこ
レバレッジ(leverage)とはてこを意味する言葉。
「てこ(レバー)の位置を調節すれば小さい力でも大きな力を生み出せる」という小学校で習ったてこの原理をイメージしてください。


このてこの原理を投資に応用することにより、少額の資金でも大きな金額を動かすことが可能になります。



このような投資信託のことをレバレッジファンドといいます。
S&P500と金に100%ずつ投資
具体的な仕組みを説明すると、まず投資資金の約75%でS&P500のインデックスを購入。
残りの約25%を証拠金としてレバレッジをかけて先物取引を行います。



下表の赤線枠内の現金約25%を担保として残しておくのがポイント。


この現金25%を証拠金にするとS&P500に25%分、金先物に100%分の追加投資が可能。
下の図のようにまさにてこのように金へ投資できるのです。


結果として100%の投資資金で合計200%の投資効果を生み出すことができます。
Tracers S&P500ゴールドプラス 5つの強み
Tracers S&P500ゴールドプラスの強みを5つ挙げて解説します。
高いリターン
Tracers S&P500ゴールドプラスは投資信託の設定から現在まで、投資家の注目を集める優れたパフォーマンスを実現してきました。
理由は
- S&P500と金の同時上昇
- レバレッジ効果による一つの資産への投資では不可能な収益機会
に恵まれたからです。
基準価額は2022年8月の設定時点から着実に右肩上がり。


特に2024年には1月の約1万3000円から10月には2万2000円台まで急上昇を記録しています。
また直近の1年間ではS&P500単体の成績を大きく上回る結果となりました。


このように特に上昇相場においてS&P500と金のレバレッジファンドは真価を発揮します。
株と金によるリスク分散
金融市場において「卵を一つのかごに盛るな」という格言があるように、リスク分散は投資の基本原則です。
Tracers S&P500ゴールドプラスはS&P500と金という特性の異なる2つの資産を組み合わせることで、効果的なリスク分散を実現。
なぜならば下のグラフのように、一方が下落する際には他方が上昇する逆相関の傾向があるからです。


リーマンショック(2008年)やコロナショック(2020年)のような金融危機では、株式市場が大幅に下落。
一方で、安全資産として注目される金価格は上昇しました。
S&P500単独への投資と比較して、Tracers S&P500ゴールドプラスは下落幅の縮小が期待できます。
少額でも高リターンを狙える
Tracers S&P500ゴールドプラスの最大の特徴は少額でも高いリターンを狙えます。
なぜならば先物取引を活用したレバレッジ効果により、限られた資金で2倍相当の投資効果を得られるからです。
一般的な投資信託では、1万円の投資で1万円分の資産しか購入できません。
しかしレバレッジを使えば1万円でS&P500に1万円分、金に1万円分、合計2万円相当の投資が可能です。


先物取引では少額の証拠金で大きな金額の取引が可能であり、この特性を活用することにより200%の投資効果を生み出しています。
結果として、月1万円の積立投資でも、月2万円相当の投資効果を期待できるのです。
レバレッジの仕組みは、特に投資資金に限りがある投資家にとって大きなメリット。



ただし利益が拡大する一方で損失も拡大する可能性も!
レバレッジの仕組みを十分理解した上で投資判断を行うことが重要です。
コストが低い
Tracers S&P500ゴールドプラスは他のレバレッジファンドに比べて、運用コストが低めに設定されています。
運用コストの低さは最終的なリターンに大きな影響を与える重要な要素。
純資産の規模が近い他のレバレッジファンドと比べてみましょう。
Tracers S&P500 ゴールドプラス | 楽天 レバレッジ NASDAQ-100 | auAM レバレッジ NASDAQ100 | iFreeレバレッジ S&P500 | |
---|---|---|---|---|
運用会社 | 日興アセット | 楽天投信 | auアセット | 大和アセット |
純資産 | 43,328 百万円 | 43,876百万円 | 27,252百万円 | 21,878百万円 |
信託報酬 | 0.1991% | 0.77% | 0.4334% | 0.99% |
総経費率 | 0.34% | 0.88% | 0.46% | 1.01% |
トータルリターン 1年 | 31.01% | 0.75% | 2.88% | 4.09% |
レバレッジを活用する複雑な仕組みを持ちながらも、Tracers S&P500ゴールドプラスは他のファンドより信託報酬と総経費率が低めに抑えられています。
S&P500と金のレバレッジファンドでありながら、このコストの低さは魅力の一つです。



ただあくまでも他のレバレッジファンドと比べての話。
インデックス連動ファンドに比べたら圧倒的に高いですよ……
為替リスクは限定的
Tracers S&P500ゴールドプラスは為替変動リスクが限定的になるという強みがあります。
ただ為替リスクは難しい話なので、まず海外先物取引の仕組みを理解しましょう。
難解な海外先物取引
多くの海外投資商品では、為替変動が投資成果に大きな影響を与えます。
特に現物取引の場合はより円高・円安の為替変動リスクを常に意識しなければなりません。
しかし下の図のように先物取引の特性を活用することにより、為替リスクは大幅に軽減されるのです。


現物取引と先物取引の違いを理解すれば、為替リスクも分かってきます。
先物には為替の影響なし
Tracers S&P500ゴールドプラスの目論見書6ページ目に、先物取引を活用するメリットとして「為替変動リスクが限定的」という記述があります。
為替変動リスクが限定的
先物取引では、差金決済となるため、為替変動の影響は、主に評価損益分と外貨建て証拠金に限定されます。(引用:Tracers S&P500ゴールドプラス交付目論見書)



少し詳しく説明します💦
Tracers NASDAQ100ゴールドプラスの目論見書には分かりやすい図解がありました。


つまり先物取引の仕組み上、為替変動の影響を受けるのは主に米国株式の現物と外貨建て証拠金部分のみ。
よって仮に大幅な円高が進行しても、投資元本に対する為替の影響は他の海外投資商品と比較して評価損益部分のみに軽減されるのです。
しかしS&P500の現物部分については実質的に為替変動の影響を受けるため、リスクフリーではないことは覚えておきましょう。
とはいえ為替ヘッジコストを負担することなく、為替リスクの軽減効果を享受できる点は独自の魅力といえます。
Tracers S&P500ゴールドプラス3つのリスク
Tracers S&P500ゴールドプラスは高いリターンが期待できると同時に相応のリスクも存在。
投資する前に必ず理解すべきリスクは以下の3つです。
レバレッジのリスク
Tracers S&P500ゴールドプラスは、レバレッジを効かせたレバレッジファンドなので独特な値動きをします。
上昇も下落も2倍
レバレッジ効果は利益を拡大する一方で、損失も同様に拡大させる諸刃の剣です。
翌日の値動きに限るならば、市場が10%下落した場合、20%の損失が発生する可能性があります。


通常のインデックスファンドの2倍の値動きを覚悟する必要があります。
必ずしも2倍にはならない
翌日は2倍です。
しかし不思議なことに2日目以降は、指数が下落後に元の水準に戻っても、レバレッジファンドの基準価額は元に戻らない現象が発生。



この現象を逓減もしくは減価といいます。
指数が変動後に元の値に戻る場面を想定してみましょう。
通常であればレバレッジファンドの価格も同様に元に戻ると予想されます。
ところが実際には下図が示すとおり、指数は100に戻ってもレバレッジファンドは戻りません。


前半2日間と後半2日間の騰落率を計算すると仕組みが分かってきます。



注目すべきは基準日からの騰落率です。
以下は対象指数が上昇して元に戻る場合の騰落率。
1日目 | 2日目 | |
---|---|---|
対象指数 | 10% | -9.1% |
レバレッジ | 20% | -18.2% |
1日目 | 2日目 | |
---|---|---|
対象指数 | 10% | 0.0% |
レバレッジ | 20% | -1.8% |
次は対象指数が下落して元に戻る場合の騰落率です。
3日目 | 4日目 | |
---|---|---|
対象指数 | -10% | 11.1% |
レバレッジ | -20% | 22.2% |
3日目 | 4日目 | |
---|---|---|
対象指数 | -10% | 0.0% |
レバレッジ | -20% | -4.0% |
このように対象指数が0%に戻ってもレバレッジファンドはマイナスのままです。



レバレッジファンドは短期売買による利益を目的とした方がいいと思います。横ばいは下落ですから……
Tracers S&P500ゴールドプラスは上下に動いた後、基準価額は元に戻らないことを覚えておきましょう。
低迷期は未経験
2022年8月のファンド設定以来、Tracers S&P500ゴールドプラスは本格的な下落相場を経験していません。
S&P500や金が低迷した時の動きはまだ未知数ということです。
次の販売用資料に掲載されている運用シミュレーションを見てください。


急上昇が強調されたグラフですが、このシミュレーションは2002年からの話です。
ちなみに2002年からの金価格はこちら。


販売用資料のシミュレーションは、まさに金価格上昇の2002年から切り取ったチャートであることが分かります。
1980年~2000年のような金価格が横ばいしている期間を、まだTracers S&P500ゴールドプラスは経験していません。



レバレッジファンドは横ばい局面では減価していくことは前項で説明した通りです。
Tracers S&P500ゴールドプラスはまだ低迷期を経験していないファンドだということは覚えておきましょう。
短期金利の影響を受ける
Tracers S&P500ゴールドプラスは短期金利の変動が運用成果に影響を与えます。
なぜならばTracers S&P500ゴールドプラスは先物取引を活用する仕組みなので、現物投資と比較してリターンが目減りするからです。
通常先物取引の利益は金利分だけ引かれます。





現物を持たない代わりに金利を払うのが先物取引です。
レバレッジをかければ当然倍になります。


Tracers S&P500ゴールドプラスの目論見書にあるエクセスリターンとは、この短期金利の影響を考慮した収益です。
金利が上昇する局面では、理論上2倍のレバレッジ効果を期待しても、実際には2倍未満のリターンにとどまることが発生します。
Tracers S&P500ゴールドプラスに投資するならば米国の短期金利の影響を受けることを理解して、中央銀行の金融政策に敏感になる必要があります。
Tracers S&P500ゴールドプラスをおすすめする人
Tracers S&P500ゴールドプラスをおすすめする人はこんな人です。
金に投資したい人
従来のS&P500への投資だけでは物足りなさを感じている投資家にとって、Tracers S&P500ゴールドプラスは理想的な選択肢となります。
投資信託という手軽な形で金先物への投資が可能であり、複雑な先物取引の知識がなくても金投資の恩恵を受けられるからです。
金への投資を検討しているものの、現物購入の煩雑さや保管コストを避けたい方には魅力的。
リスク許容度が高い人
Tracers S&P500ゴールドプラスは短期的な損失にも動じない投資経験豊富な人に適しています。
理由は暴落局面で仕込み、上がったら売り抜けられるから。
戦略的投資が可能な人であれば、レバレッジ効果も最大限に活用できます。
また既にコア投資として安定的なインデックスファンドを保有しており、サテライト投資として積極的なリターンを狙いたい方にも向いています。



ただし適切な資金管理は忘れずに。
NISA口座が限度額に到達した人
Tracers S&P500ゴールドプラスは残念ながらNISA口座では購入できません。



NISAではレバレッジファンドはつみたて枠と成長投資枠の両方で買えない決まりです。
であるならばNISA口座が限度額に到達した人には有力な選択肢。
NISA口座では安定的な投資を行い、課税口座ではより積極的なリターンを狙うという戦略は理にかなっているからです。
投資余力が十分にある人ならば、分散投資の一環として活用することで、より効率的な資産形成を目指せます。
Tracers S&P500ゴールドプラスよくある質問5つ
よくある質問をまとめました。
金投資のデメリットは?
金投資のデメリットはインカムゲインを期待できないことです。



インカムゲインは資産を保有しておくことで得られる利益のこと。
例えば株式は配当金、債券は利息が受け取れます。
しかし金は保有していても配当金や利息のようなインカムゲインはありません。
金の埋蔵量は限られており、お金と異なり刷ることはできないからです。
投資信託やETFも分配金の実績があるファンドはほとんどありません。
S&P500と金の相性は?
歴史的に見て、S&P500と金は優秀な分散効果を発揮する組み合わせです。
なぜならば過去の金融ショック時、S&P500と金の組み合わせがリスク軽減しているから。
下のグラフで相関関係が分かります。




リーマンショックやコロナショックなどの金融危機では、株価が急落する一方で金価格は上昇。
もちろんいつも逆方向ではありません。
とはいえS&P500と金の相関係数は-0.17。
相関係数は-1から+1の間で動き、-1に近ければ近いほど逆相関になる係数です。
S&P500と金は程よく分散された組み合わせと言えます。
おすすめのゴールド投資は?
金に投資したいならNISA対応の低コストファンドがおすすめです。
Tracers S&P500ゴールドプラスはNISA非対応ですし、もっと低コストで金に投資できるファンドはあります。
例えば米国ETF(上場投資信託)です。
米国ETF | |||
---|---|---|---|
ティッカー | GLDM | GLD | IAU |
経費率 | 0.10% | 0.40 % | 0.25 % |
GLDMはコストを抑えられるので長期投資向き。
GLDは市場参加者が多いので短期で抜きたい人には都合がいいです。
IAUはGLDMと同じくらいの額で購入可能で、IAUの方が歴史も長く純資産額も大きいです。
国内ならSBI−SBI・iシェアーズ・ゴールドファンド(サクっと純金)がおすすめ。



信託報酬も0.1838%で安い。
上記いずれもNISA口座に対応しています。
分散投資として金を組み入れる場合は、ポートフォリオの10~20%程度の比率が一般的です。
自身でS&P500連動ファンドと金ETFを個別購入すれば、投資比率を自由に調整できます。
レバレッジリスクを避けつつ株にも金にも投資したい人は個別購入を考えましょう。
NASDAQ100のゴールドプラスやゴルカンは?
Tracers NASDAQ100ゴールドプラスも日興アセットマネジメントから提供されており、仕組みはS&P500版と同様です。
主な違いは投資対象で、NASDAQ100は成長株中心のためよりハイリスク・ハイリターン。
S&P500版は500社に分散されているため相対的に安定性があり、NASDAQ100版はテクノロジー企業への集中度が高く成長性に優れています。



どちらもレバレッジファンドです。
選択のポイントとしては、安定した分散効果を求めるならS&P500版。
短期のトレードで高いリターンを期待するならNASDAQ100版です。
ただしNASDAQ100版はボラティリティが高いため、投資経験とリスク許容度がより重要な判断要素となります。
注意点はNASDAQ版とオルカン版は圧倒的にコストが高いこと。
明治安田ゴールド/オール・カントリー株式戦略ファンド【愛称:ゴルカン】なんて購入時手数料3.3%もかかり、信託報酬は年1.023%!!!
無駄に高い手数料を払わないように気を付けましょう。
S&P500だけの方がいい?
長期投資でリターンを最大化したいのなら、S&P500だけでもいいと思います。
トータルリターンではS&P500単独投資の方が高いからです。
Tracers NASDAQ100ゴールドプラスはまだ歴史が浅いファンドなので、長期間の比較ができません。
そこでS&P500と金の米国ETFでリターンを比較します。


15年分の動きでは、
- S&P500単独投資の方が高いリターン
- 金は長期間横ばいの時期がある
- ボラティリティはS&P500と金はほとんど同じ
ということが分かります。
となると15~20年の長期投資ならS&P500連動型インデックス1本の方がリターンを期待できそうです。
S&P500に連動するファンドが多すぎて困っている方は下の記事を参考にしてください。
まとめ投資判断のポイント
Tracers S&P500ゴールドプラスは、革新的な運用手法により高いリターンを狙える魅力的な投資信託です。
S&P500と金(ゴールド)への均等分散投資に共感した人が多い理由もうなずけます。
投資を検討すべき人
- 投資経験が豊富で、リスクを理解している
- 少額資金でも高いリターンを求めている
- 金への投資に興味がある
避けるべき人:
- 投資初心者
- 短期的な損失に敏感
- 安定した運用を重視する
- レバレッジリスクを理解していない
Tracers S&P500ゴールドプラスの高いポテンシャルと潜在的なリスクを十分に理解した上で、慎重に検討しましょう。


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